中国語と日本語では「漢字」を使うという共通点があります。
そのため私たち日本人にとって中国語は英語やドイツ語など他の言語よりも、一つ一つの単語の意味を推測しやすく覚えやすいという特徴があります。
しかし、いざ勉強をしてみると多くの苦労があります。
- 発音や声調がややこしい
- 同音異義語が多い
- 成語や熟語が多い など
今回は、中国語の単語をどのようにすれば効率よく暗記できるのかよくある間違った勉強方法と、正しい勉強方法の両方を解説していきます。
また、これから勉強を始める方に向けてお勧めの単語帳・アプリも紹介していきますので是非参考にしてください。
目次
【目的別】中国語の単語は何語覚えたらいい?

中国語の単語は約500000単語あると言われいますが、実際にはどれぐらいの語数を覚えればいいのでしょうか。
下記の3つで、それぞれの語数を解説していきます。
- 日常会話・ビジネス
- 中国語検定
- HSK
日常会話は500語〜
レベル | 語数 | 詳細 |
簡単な日常会話 | 500語 | 簡単な自己紹介、買い物、レストランでの注文など |
一般的な日常会話 | 1,500語 | 仕事の簡単なやり取りなど |
ビジネス | 3,000語 | 複雑な仕事のやり取りなど |
旅行に行った際に買い物やレストランで簡単な会話をするぐらいであれば500語程度覚えることで可能になります。
1,500語程度暗記することができれば、仕事で簡単なやり取りをしたり、友人とメールでやり取りすることが可能になります。
3,000語暗記できれば複雑な仕事のやり取りなどもできるようになります。
以上のように、自分の目的に合わせて何語程度暗記するのか目安を確認しておきましょう。
中国語検定は400語〜
等級 | 語数 |
5級 | 400語 |
4級 | 700語 |
3級 | 1,500語 |
2級 | 5,000語 |
準1級・1級 | 10,000語以上 |
日本の中国語検定は5級から1級までの5段階に分かれていて、5級は400語程度で合格を目指すことができます。
準1級や1級まで取得しようと思うと、10,000語程度の暗記が必要になるので、自分が取得したい級に合わせて目安を確認してみましょう。
HSKは150語〜
等級 | 語数 |
1級 | 150語 |
2級 | 300語 |
3級 | 600語 |
4級 | 1,200語 |
5級 | 2,500語 |
6級 | 5,000語以上 |
HSKは中国政府公認の中国語能力試験で、1級から6級までの6段階に分かれていて、6級は150語程度で合格を目指すことができます。
6級まで取得しようと思うと、5,000語以上の暗記が必要になるので、自分が取得したい級に合わせて目安を確認してみましょう。
おすすめの中国語の単語帳

おすすめの中国語の単語帳を紹介していきます。
改訂版キクタン中国語 【初級編】中検4級レベル
「改訂版キクタン中国語 【初級編】」は、中国語の学習を始める方におすすめの単語帳になります。
- テーマ別の単語リスト
- 音声教材の充実
- 例文付き
- 中国語検定や日常で頻出の単語が588語収録
など、単語の勉強をする上で必要な要素を兼ね備えている教材のため、どれを買おうか悩んだ場合はこの1冊を選んでおけば間違いありません。
おすすめの中国語の単語集アプリ

おすすめの中国語の単語集アプリを紹介していきます。
中国語検定HSK公認単語トレーニング
「HSK公認単語トレーニング」は、中国政府公認の中国語検定「HSK」をベースに作られた中国語単語学習アプリになります。
- 「10問学習+確認テスト」が1セット
- すべての単語に例文がついている
- 音声による読み上げ機能
- 「読むテスト」「聞くテスト」の2つの確認テスト
- 学習進捗のグラフ表示
- 弱点チェック機能
など、アプリならではの多様な機能が備わっているため、様々な角度から単語の勉強をできるためオススメのアプリになります。
通勤や通学中などちょっとした隙間時間にアプリで勉強したいと考えている方は、まず最初にこちらのアプリを入れてみてください。
やってしまいがちな中国語単語の間違った覚え方

1日に10個は少ない!
中国語の単語を暗記するときに1日10個程度の暗記をする勉強方法は間違いです。
「1日10個ずつ暗記すれば1ヶ月で300個暗記できます」
というような説明をされていることもありますが、1週間前に暗記した単語を本当に全て記憶に定着させることができているでしょうか?
1日10個ずつ勉強したとして、1ヶ月後に300個の単語テストをしたときに、ほぼ全ての人が満点を取ることはできないでしょう。
満点を取れないだけでなく、半分の150個も正解できない人が多いのが実情です。
そのため、「1日10個ずつ暗記すれば1ヶ月で300個暗記できます」という考え方は捨てる必要があります。
単語の暗記は1日にできるだけ多く見て、単語帳を何周も繰り返し使いながら覚えることが大事なのです。
出現頻度の低い単語に時間を割きすぎない!
単語には「必ず暗記しなければならないもの」と「暗記しているとたまに役立つもの」など、単語によって出現頻度が違うということを理解しておきましょう。
例えば以下の2つの単語があるとします。
大家(みんな)
组织(組織する)
この2つの単語を比較すると、日常会話などをイメージすると「大家」の方が圧倒的に使われる頻度が高いことが想像できます。
「组织」は日常会話であまり使うことはありませんよね。
つまり、「大家」のような出現頻度の高い単語の暗記により多くの時間を注ぎ、それらをある程度暗記できたら「组织」のような覚えていただたまに役立つ単語を覚えていくべきなのです。
日本の漢字と一緒にしない!
日本語と中国語では「漢字」を使うという共通点があるため、単語の暗記は他の言語の単語よりも比較的簡単です。
そのため、ついつい見たことがある漢字を見ると日本語と同じ意味だと考えてしまうことがあります。
しかし、同じ漢字であっても日本語と中国語では全く意味が異なるので、日本語の意味に引っ張られすぎないようにしなければなりません。
日本語と中国語で意味が異なるものは下記のような漢字があります。
その他にもありますので、注意するようにしましょう。
漢字 | 中国語の意味 |
手紙 | トイレットペーパー |
先生 | 先輩、年長者 |
天気 | 良い気分 |
社長 | 部門の長 |
出張 | 赴任する |
大丈夫 | 男らしい |
動物 | 物事が動く |
中国語単語の効率的な覚え方

自分で例文を作ってみる
中国語の単語帳には例文が記載されていることも多いですが、その例文を覚えたつもりでもすぐに忘れてしまっていることも多々ありますよね。
そのような時は自分で例文を作ってみることをオススメします。
例えば、覚えられない単語があった時に、その単語を使って散歩中や通勤中に頭の中で例文を作ってみるのです。
全て中国語で例文を作れることがベストですが、勉強を始めたばかりの初学者だとそれは難しいでしょう。
その際は、覚えたい単語のところだけ中国語にして、それ以外の部分は日本語で例文を作るなどの工夫をしていきましょう。
音声学習も取り入れて発音・声調も並行して勉強する
中国語の単語を勉強する時は音声学習も積極的に取り入れることが重要です。
同じ発音でも声調が異なると意味が全く変わってくるため、それらの違いを意識しながら単語の暗記を行わなければなりません。
例えば同じ「ma」という発音でも声調が変われば変わると下記のように意味も異なってきます。
- 妈(母)
- 麻(麻)
- 马(馬)
- 骂(罵)
単語の文字の暗記と発音・声調の暗記を別々にするよりも、同時に学習することで同じ「ma」どうしで一括で暗記することにもつながります。
単語を効率良く覚えていくためには、発音・声調も並行して勉強をしていくことをオススメします。
声調の覚え方はこちらを参考にしてください。
→【中国語の声調の覚え方】四声をマスターする勉強方法を解説
ドラマや映画を活用する
語学の学習は継続することが大切であり、そのためには楽しみながら勉強するのが一番です。
楽しみながら中国語の単語を暗記していく方法として、ドラマや映画を活用することをお勧めします。
人は経験したものを強く覚えている生き物です。
そのため単語帳と向き合って勉強するだけでなく、ドラマや映画で心を動かされたシーンでどのような単語が使われていたのかを意識して観てみてください。
そうすると出て来た単語を効率良く暗記していくことができます。
頭の中で日本語→中国語に単語で変換してみる
頭の中で思いついた日本語を、文法などは気にせず単語だけ中国語に変換してみるとテーマごとに関連させながら覚えることができます。
例)
晩御飯を作っている時に「今日の晩御飯は美味しく作ることができたな」と思った時
中国語では「晩御飯」「美味しい」「ご飯を作る」などはどのような単語になるのか、単語帳で調べてみてください。
そうすることで『食事』というテーマに関連した単語を暗記することができます。
このように日常的に日本語から中国語に単語だけでも変換するという勉強をしておくと、実際によくあるテーマに関連して単語を覚えることができるので効率的なのです。
実際に会話してみる
語学で最も早く成長させる方法は実際に会話してみることです。
文法を学んでいない段階でも、自分が思いつく中国語の単語を並べて積極的にコミュニケーションを取ろうとするだけで学習効率は大きく変わります。
中国語で会話する方法としては大きく下記の2つがあります。
- 中国語教室・レッスンに通う
- サークル・コミュニティに参加する
どちらにしても、意味が伝わらなかった時に間違いを指摘してもらう必要があるため、今の段階では日本語でも話せる相手を選ぶことが重要です。
中国語の単語を覚える時の注意点

覚えた単語を忘れてしまうのは当然のこと

あなたはエビングハウスの忘却曲線というものを知っているでしょうか?
これは、人は暗記したものをどれだけ保持することができるかを実験した際に得られた結果です。
<エビングハウスの忘却曲線の内容>
20分後:覚えた内容の42%を忘れる
1時間後:覚えた内容の56%を忘れる
1日後:覚えた内容の74%を忘れる
1週間後:覚えた内容の77%を忘れる
1ヶ月後:覚えた内容の79%を忘れる
このように、人は暗記した内容を次の日には半分以上忘れてしまう生き物なのです。
そのため一度覚えた中国語単語が、テストや読解の勉強をした時に忘れてしまっているのは当然のことなのです。
だからこそ何度も何度も単語帳を使って復習をすることが大切ですし、「間違えた→復習する」を繰り返すことで長期的な記憶につながります。
「書く」よりも「読む・話す・聞く」の方が重要
あなたが中国語を勉強する目的は何でしょうか?
中国語検定やHSKに合格することであれば、筆記や作文も出題されるため「書く」というスキルは必要になります。
しかし、下記のようなことを目的にしている場合は「書く」よりも「読む・話す・聞く」の方がよっぽど重要なスキルなのではないでしょうか。
- 日常会話ができるようになりたい
- 旅行に行った時に困らない程度の中国語を身に付けたい
- 中国のエンタメを楽しみたい
日本語の漢字でも下記のように読めるけど書けない漢字はたくさんありますよね。
躊躇(ちゅうちょ)
親戚(しんせき)
稽古(けいこ)
中国語の単語も「書く」ができなくても「読む・話す・聞く」ができればあなたの目的は達成できるのではないでしょうか。
それであれば中国語単語を覚える時に、わざわざ紙に書いて覚える必要はありませんよね。
そのような場合は単語帳の漢字を書くのではなく、見て覚えるという勉強方法の方が合っているので意識してみてください。